テレワークを阻む壁ー1 業務可能環境がオフィスにしかない問題

新型コロナ対策として、在宅勤務などのテレワークを導入する企業が増えました。今後もウイルスの驚異とともにある、with COVID-19 時代が続くことから、混雑して通勤電車にゆられて、センターオフィスに通う働き方を見直す動きは、不可避となりそうです。

本記事では、20年2月21日時点で、BCP対策として在宅勤務をいち早く採用した会社を「伸びる会社」として紹介(GMO等)、一方でテレワークを「育児/介護と仕事の両立支援策(働き方改革実行計画2017.03.)」としてしか捉えられない企業は「落ちぶれる会社」となるであろうと指摘。

 今後、福利厚生とされてきたテレワークが、生産性向上手段として、本格的に取り組みが進むなか、課題の整理と、実践的解決法の提案が求められていると思われます。

例えば、BCP対策としての在宅勤務を、平時から準備し訓練していたGMO社でも、1/27に都心部で働く4千人に在宅勤務指示を出したものの、2/10には一部方針を転換。社外だけでは仕事が難しい1千人に対して、出社を認めたといいます。

取引先企業のセキュリティー基準でWEB会議ができないといったケースや、社内システムのメンテナンス郵便物の受け取りなどは、出社して行う必要があるのだという。また、従業員の出社に伴い、社内の定期的な消毒や、業務のバックアップなどで出社する従業員も出てきている。

LINEでも在宅勤務を選択するも、セキュリティレベルの高い情報を扱っていたり、社内にある業務ツールを使わないと業務ができなかったり、「業務可能環境がオフィスにしかない社員もいる」実態がある。

テレワークにも「限界」 導入企業でも出社の現実 (1/2) - ITmedia ビジネスオンライン

また、アドビによる調査では、押印やサイン、書類の確認など紙の扱いがハードルになっていると指摘しており、在宅勤務の本格展開には、業務フローの見直しや書類の電子化という礎づくりが不可避としています(調査主体がアドビである分を差し引く必要はありますが)。

また、日経の記事等で、VPNの逼迫(PC、回線速度、サーバーの性能向上、サポート要因の増加対応)が在宅勤務のボトルネックとなっている点も指摘されています。

こちらの記事では、通勤地獄に至った歴史を紐解き、ウィルスの驚異でテレワークの洗礼を受けた社会が、呪縛から開放される機会になるかもしれないとの希望が描かれています。

通勤地獄を招いた通勤手当」が、「IT投資」や「在宅勤務IT設備手当」に変わる。ハワードが提唱した「職住接近型の田園都市」が、ようやく誕生するかもしれない。

「電車通勤」の歴史と未来 ITとテレワークで“呪縛”は解けるか (1/6) - ITmedia ビジネスオンライン

 「業務可能環境がオフィスにしかない」という状況を変えられるのか、
そのための環境整備を、どのような優先順位で進めていけばいいのか、
合わせて検討すべき、管理手法の転換をいかに進めていけばいいのか、
沸騰中の記事を斜め読みして、SOHOワーク推進の鍵を見出してみようと思います。