イエナプラン教育にも、興味津々

オランダで普及しているイエナプラン教育も、以前から注目している思想の一つです。

語り部として有名なリヒテルズ直子さんのお話は何度か聞く機会があったのですが、自分の子どもに対して、この思想をどう活用するかという点での深堀りが十分でなかったため、この機会に向きあってみたいと思います。

こちらのサイトでは、イエナプランの生い立ちから紹介されています。

イエナプランは、1924年、ドイツにあるイエナ大学の教育学者、ペーター・ペーターゼンが同大学の実験校で始めた教育モデルです。このイエナプランを積極的に取り入れ、発祥国のドイツを遥かに凌ぐ勢いで発展しているのがオランダです。オランダは憲法で教育の自由を保障しているため、他国の教育手法であっても自由に取り入れることができます。そうした背景もあり、1960年代に初めてイエナプラン校が設立されて以来、急速に普及してきました。現在オランダにある学校のうち10%がオルタナティブ教育を実施しており、そのうち約3割に該当する200校近く(オランダ全体の3%に相当)が、イエナプランを取り入れています。

ところでどうしてオランダでは、イエナプランが普及したのでしょうか。それは、歴史的背景が関係しています。

戦後、オランダ市民は自ら行動して社会を作っていきたいと、新しい時代の市民教育としてイエナプランを取り入れ、発展してきました。そのため、「幸福な民主主義に参加する市民を育てるための教育のあり方」という視点が強調されています。

実際に、原発を推進するのか、廃止するのか、という選択に対して、市民運動によって民主的な検討が進んだ結果、廃止法案が採択されたとのこと。日本で、民主的な検討なく、原発推進が進んでいった様相と、対照的です。

 出典を失念してしまったのですが、オランダの国民性として「ケチである」ことをあげ、「Go Dutch!  割り勘にしよう、という用語がその象徴」という記述のある本がありました。資源が乏しく、土地も痩せていたオランダでは、共同地を管理するために、全体が豊かになる方法を民主的に見出すということが、当たり前に行われてきた、という歴史的背景が語られていました。

 そんな国民性のなかで、民主主義への関わり方を学ぶイエナプランが採択されていったのは、必然的な流れなのかもしれません。

先程の記事には、ダイジェスト動画もあります。この中で、オランダイエナプラン教育協会研究代表者ケース・ボットさんが語っているメッセージが印象的です。

私達は、いままで子どもたちに「答え」を学ぶようにと教えてきました。

しかし、「答え」の後ろにある「問い」については教えていません。学校では子どもたちは、たくさんのことを出来合いの答えとして学んでいます。

しかし、子どもたちは同時に、自分自身で研究することを学ぶ必要があります。しかも、グループという研究共同体のなかで、学ぶのです。

自分自身で研究することを学ぶ、このエッセンスが幸福な民主主義に参加する市民力につながることを、実践を通じて確信していることが伝わってきました。

こちらの記事では、リヒテルズ直子さんの寄稿が掲載されており、「子どもが幸福であるためには、大人が幸福でなくてはならない」ことが強調されていました。ワークシェアが進められた背景もあり、労働時間が日本をはじめ他国と比べて少ないオランダ。

「大人が精神的な余裕を持ち、子どもたちに接する」という観点は、SOHOワークを形作る大事な視点であると思われます。

なお、オランダのもう一つの特徴として、「洪水との格闘の歴史」があります。アムステルダムは美しい運河が張り巡らされている街との印象がありますが、同時に彼らはこの治水に1,000年にも渡り、悩まされ、克服することに取り組んできました。

温暖化による気候変動に対しても敏感で、「想定内」というような防衛的な見方だけでなく、イノベーティブに持続的な治水モデル、経済モデルを考える能力が育まれていると言います。

こちらの本には、小国で資源が乏しいオランダが、幸福な民主主義を育む人材育成を基盤として、自由をを尊重し、「精神的な強さ」によって、ヨーロッパのなかで低失業率を誇り、経済発展を続けている様子が描かれています。

家庭内での子どもの育て方にも、幸福な民主主義という基盤が、入ってきているのでしょうね。引き続き「自分自身で研究する」を実践してみたいと思います。